即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」、採用管理クラウド 「HRMOS(ハーモス)採用」の利用企業のなかから、企業成長のために人事・採用を変革させ、先進的な取り組みを行った企業を表彰するものです。2020年度のHR SUCCESS SUMMITアワードにて受賞された、株式会社グッド・クルー様にインタビューさせていただきました。

受賞企業 ご担当者様プロフィール小西 繁樹氏
株式会社グッド・クルー 大阪オフィス 統括部長
本人のやりたいことと会社とのマッチングを図るために、あえて面接時間や選考期間を長く設けた
――内定辞退で悩む企業が多いなか、グッド・クルーは2021年卒の新卒採用(以下、21卒の新卒採用)において内定承諾率90%と非常に高い実績を上げています。21卒の新卒採用の活動内容について、どのような活動をされてきたのか教えてください。
21卒の新卒採用は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、オンライン採用へ完全移行した活動となりました。ただ、手法は変わったものの、学生の皆様とのコミュニケーションの取り方、スタンスは変わっていません。
グッド・クルーは、「こんな事業を手掛けたい」「こんなサービスを作りたい」「組織体制をこう変えたい」など、自ら手を挙げて提案したメンバーにどんどんチャンスを与えていく会社です。そこで、ファーストコンタクトの場である企業説明会では「会社に依存しないでほしい」というメッセージを明確に伝えます。
会社が与えた仕事をコツコツ進めていればスキルやキャリアを積めると思っているタイプの方には、厳しいカルチャーでしょう。これから入社する学生にも、チャレンジしたいことがあれば仕事を任せ、事業をドライブさせていく即戦力人材としての活躍を期待しています。
そのため、企業説明会では、学生自身が「自分は何をしたいのか」を考えて企業選びや情報収集をしているかに注目しています。もちろん就職活動をスタートした時点では、自分の将来や目標設定がまだできていない学生もいます。そういったときは、学生自ら考えられるよう問いを投げかけ、気付きを与えるようにしています。極端な表現をすると「弊社のビジョンに共感する学生だけに応募してほしい」のです。なので、一方的に魅力を語ることはしません。学生自身にしっかり考える時間を持ってもらい、自らの意思で納得して応募していただく。このスタートラインが重要だと考えています。
弊社では、履歴書では人柄やカルチャーフィットは判断できないという理由から、書類選考は行っていません。ただ、1次面接に来る学生は、自分の意見を持ち発信をできる方がほとんど。説明会で、ある程度スクリーニングができているのだと思います。
関西での新卒採用では、1次面接では約300人の学生と会い、計3回の面接を経て、52名が内定、うち49人が内定承諾に至りました。
――21卒の新卒採用の手法や内容で、これまでと変えた点、工夫したポイントは何ですか。
弊社では、1回の面接を約2時間と長く設け、選考期間も数カ月かけています。
面接で時間をかけるのは、「学生が企業に合うかどうか」ではなく、「学生のビジョンに対して自社が合わせられるか」をしっかり確認したいから。例えば「外国籍の方の就労支援をしたい」という学生がいたら、それをどう自社で実現できるかを一緒に考えます。もしかなえられなければ、その学生の生産性を最大化できないということになります。
1次面接と2次面接の間に意図的に2カ月ほど時間を置くこともよくあります。「ほかにもいろいろな企業を見たうえで、本当にグッド・クルーで働きたいか、自分がやりたいことがここにあるのかを考えてみてほしい」と伝えています。
そのため、選考途中での離脱は多いのかもしれません。実際に「小西さんとお話しして、他も検討した結果、『ここでなら実現できる』と思える会社が見つかりました」と報告をくれる学生もいました。そして、仮にその学生がどんなに優秀な人材だったとしても「後悔」は全くありません。本人のやりたいことと会社とのマッチングを図ることこそが採用です。それがかなわないのに採用するのは、学生にとっても会社にとっても遅かれ早かれ良い結果にはならないと思っています。
――学生との向き合い方、その背景や根底にはどんな思いがあるのでしょう。
私はグッド・クルーの前職では、ミドル層を対象とした人材紹介会社でコンサルタントをしていました。
転職は人生のものすごく大きな決断であるにもかかわらず、数カ月の転職活動で、内定をもらった企業にあまり迷いなく決めていく方が少なくありませんでした。人材紹介会社の立場ながら「そんなに簡単に決めていいのだろうか」という思いが正直ありました。
また、候補者一人一人ともう少し深く、長くコミュニケーションをとれれば、転職活動を通じて、仕事観やキャリアに対する考え方をもっと醸成していけるのに……というもどかしさもありました。
グッド・クルーの新卒採用で面接時間を長く、選考期間も長くとっているのは、就職活動という貴重な経験を通じて、短い期間のなかでも、学生一人一人が成長し、自分自身でこれから続くキャリアの軸を見つけてもらいたいからです。自ら考え、行動できる人材になってから、社会人になってほしいという気持ちが強いですね。
HRMOS採用は、採用管理システムにとどまらず「社員のライフログ」として活用している
――今回の採用では、学生全員の情報を記録するため、HRMOS採用を積極的に活用されています。その活用方法について教えてください。
HRMOS採用は、ログを残すツールとして非常に便利です。
面接や電話、メールのやりとりなどをすべてメモしておくことで、面接直前でもすぐに見直すことができる。とくに弊社の場合、面接と面接の間が数カ月空いていることも多いので、メモは欠かせません。「2カ月前にはこういうことを話していたね」と学生に伝えることで、「きちんと覚えていてくれた」という信頼感にもつながるのではないかと思います。
――新卒採用においてHRMOS採用を活用しているなかで、ほかに活用のポイントはありますか。
新卒、中途の採用管理のみならず、入社後もHRMOS採用に一人一人の会社での経験や成長を記録して残すようにしています。いわばその方の「ライフログ」ですね。
採用のゴールは「入社後の活躍」にあります。学生の生産性を最大限まで伸ばすには、選考の段階からどう変化しているのかまで把握しなければ意味がない。育成方針を示すうえでも、重要な情報になると思っています。
これは私の勝手な夢ですが、いつか社員が定年退職するときに、HRMOS採用に記録していたすべての情報をまとめて、「これがあなたのライフログです」といって最終日に手渡すこと。選考時、入社時、そして退職のその日までを、HRMOS採用を通じて振り返っていただきたいですね。
――一貫して、「質」にこだわり、学生とのマッチングを大切にされていますが、今後、新卒採用市場の変化に対応すべく「量」の面でのお考えや戦略はお持ちでしょうか。
「量」に対する考えはないですね。企業がリスクヘッジとして、離職ありきで内定や採用の人数の確保をするべきではないと思っています。「質」の追求、これが私の信条です。辞めてしまう学生の気持ちを考えることを、何よりも優先すべきです。だからこそ、アトラクト(動機づけ)のために自社を過大評価することもしないし、マイナス部分もフラットに伝えます。
「一人一人の人生に関わっている」という意識を持てなくなったら、採用に携わるべきではないと思っています。
採用の仕事は「全員を成長させることはできないけれど、全員の人生を豊かにすることはできる」ものだと思っています。これは、私が尊敬している大阪桐蔭高校野球部監督の言葉「全員をレギュラーにはできないけど、全員をうまくすることはできる」からヒントを得たものです。私も同じ思いで、学生や入社した社員に接していきたいです。
▼他の受賞企業様のインタビューはこちら▼
【採用効率化らくらく診断】日々の採用業務工数を75%※削減することが可能です

面接の日程調整や人材紹介会社とのやりとりで、一日が終わっていませんか?簡単な質問にお答えいただくと、採用業務をどれくらい削減できるのか診断できます。
※実際に導入していただいた企業様の実感値をもとに算出