HRreview編集部では、「Google 広告 キーワード プランナー」を用い、さまざまなキーワードの月間平均検索回数の変動から、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年4月、1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4月、自粛生活が1年を超えるなか3回目の緊急事態宣言が発令された2021年4月を振り返りました。
2019年4月~2021年4月にかけて中途採用市場におけるキーワードの検索回数の推移を調査。そこから、検索回数が上昇した注目の10のキーワードを選出しましたので、紹介します。
検索回数の上昇率上位から厳選した注目の10のキーワード

(本スライドを含む、全10キーワードの結果レポートはこちらよりPDFでダウンロードできます)
【調査概要】
- 調査データ:検索エンジンで検索された回数(検索ボリューム)
- 調査データ対象期間:2019年4月1日~2021年4月30日
- データ取得日:2021年6月11日
- データ取得方法:Google 広告 キーワード プランナー
- 選出方法:約17,000件におよぶ人事・採用関連のキーワードの月間平均検索回数を算出。2年での上昇率や推移などをもとに、HRreview編集部で独自に10のキーワードを選出した。
▼本調査の結果は、下記よりまとめてダウンロードいただけます▼
働き方やメンタルヘルスへの関心の高まりに加え、リモートワークが追い風となった「パワハラ 言葉 一覧」
2019年4月から2020年4月、さらに2020年4月から2021年4月と着実に検索回数を伸ばしたのは「パワハラ 言葉 一覧」「モラハラとは 職場」「ワークライフバランスとは」といった、働き方改革やメンタルヘルス関連のキーワードでした。
特に2021年に入ってから急激に回数を伸ばしているのが「パワハラ 言葉 一覧」です。「ワークライフバランスとは」と比較すると、2019年4月時点での月間平均検索回数は「ワークライフバランスとは」の2割にも満たないボリュームでしたが、2021年3月には追い抜きました。月間平均検索回数は前年対比(2020年4月対2021年4月)で1375%となりました。
(本スライドを含む、全10キーワードの結果レポートはこちらよりPDFでダウンロードできます)日本人の特徴ともされる「空気を読む文化」のメリットは、あいまいな内容であっても意思の疎通ができることです。裏返すと、言葉で物事を説明することや言葉で物事を確認することが不得意なまま、マネージャーなどの職位についてしまっている人も多くいることが考えられます。
対面でのコミュニケーションは、言葉だけでは表せない思いや空気、置かれている状況を、伝えることも、読み取ることも可能でした。しかし、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大とともにリモートワークが普及し、チャットツール等を使った連絡・情報共有が取り入れられたことにより、「言語化することの難しさと大切さ」に気付いた人も少なくはないでしょう。
厚生労働省が配布しているパンフレット「これってパワハラ?」のなかでも、何がパワーハラスメントに当たるのかの判断が難しい点が紹介されています。
出典:これってパワハラ?(厚生労働省) P.3
検索した人は、パワハラの加害者・被害者、どちらになり得る立場の人が多かったのかはわかりません。しかし、「パワハラ 言葉 一覧」の急激な上昇は、働き方やメンタルヘルスへの関心の高まりに加え、テキストコミュニケーションの機会増加が後押ししたのではないかと考えられます。
コロナ禍と政府の施策により、高まる「『心身の健康』と『働くこと』の両立」
キーワードは2019年4月から2020年4月は横ばいながらも、2020年4月から2021年4月で検索回数を伸ばしたキーワードは「週休3日制」「健康経営優良法人」「ダイバーシティとは」です。
働き方が大きく変化した2020年~2021年ですが、なかでも「『心身の健康』と『働くこと』の両立」に関心を寄せた人が多かったのではないでしょうか。
「週休3日制」とは、多くの企業が採用している週休2日に加え、週内の休日をさらに1日追加する制度。2019年4月に施行された働き方改革関連法などをきっかけに、大手企業での導入などで注目を集めてきました。
その後、2020年に入り、検索回数は下降傾向がみられましたが、2020年5月に、経団連(日本経済団体連合会)が週休3日制導入を含む「オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を公表したことが影響してか、検索回数は急上昇しました。
参考:オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン(一般社団法人 日本経済団体連合)
(本スライドを含む、全10キーワードの結果レポートはこちらよりPDFでダウンロードできます)2021年に入ると、4月5日に加藤勝信官房長官が記者会見で「選択的週休3日制」の導入について言及。さらに4月23日には、自民党の一億総活躍推進本部(猪口邦子本部長)が、希望者が週3日休めるようにする「選択的週休3日制」を導入するよう坂本哲志一億総活躍相に提言。テレビ番組やネットニュースなど多くの媒体で取り上げられました。
今回紹介する10のキーワードのなかで、月間平均検索回数の前年対比(2020年4月対2021年4月)は最も高く、3763%となりました。注目とともにニュースやコラムなどで指摘されているのは、週休3日制は「手段」であって「目的」ではないという点です。有給休暇や既存の休暇制度を活用することなども重要であり、週休3日制を導入しても多様な働き方や社会人の学び直しの推進につながっていないようであれば、週休3日制を導入・運用するためにかけた人事担当者、労務担当者の労力が水の泡になりかねません。
「選択的週休3日制」は根本的な改革の一手となるのか、今後の政府・企業がどのような議論を展開していくのか、引き続き注目すべきキーワードでしょう。
ピークは去るものの、依然として注目され続ける「ジョブ型」
企業や社員とのコミュニケーションにおいて、関心が高まったのは「ワークライフバランス」や「メンタルヘルス」などだけではありません。
2020年12月に公開した記事2020年、中途採用で検索回数が上昇したキーワードとは?で、10の対象キーワードのうち、月間平均検索回数が前年対比で最も高い上昇率となったのが「ジョブ型」と紹介しましたが、2020年に比べるとややピークは過ぎるものの、その注目は2021年に入っても継続しています。
(本スライドを含む、全10キーワードの結果レポートはこちらよりPDFでダウンロードできます)先ほど紹介した注目されるキーワード「ワークライフバランス」「週休3日制」「ダイバーシティ」などの観点を取り入れながら、「ジョブ型雇用」をどのように推進していくのか。
それぞれの要素に関連性があることを踏まえたうえで、課題を解消し、ありたい未来を実現する人事制度の見直し・再設計が求められるでしょう。1回目の緊急事態宣言が明けた2020年夏から、就職・転職活動が活性化した表れか
最後に紹介する3つのキーワードは「転職サイト 女性」「選考 辞退 理由」「採用 面接」です。
(本スライドを含む、全10キーワードの結果レポートはこちらよりPDFでダウンロードできます)検索回数を伸ばした背景には、採用活動のオンライン化が多くの企業に広がり、先が見えない状況のなか、転職活動に臨んだ求職者が増加していたことがうかがえます。また、新型コロナウイルスの影響で業界によって業績の明暗が大きく分かれた点や、企業や職場によってコロナ禍における従業員に対する対応の差がでたこと、「働く業界を変えたい」「このまま今の職場で働き続けることは不安である」という動機につながった人もいたことなどもあるのではないでしょうか。
さらに、オンラインでの採用活動が広まったことで、企業側・候補者側とも双方の移動による時間や費用の制約がなくなり、選考に進むハードルが下がりました。これまで「まだ転職しようとまでは決意できていない」というような転職意欲が低い求職者も「オンライン面接なら、話を聞いてみよう」と行動し、それが転職先の企業との出会いにつながるケースもあったことでしょう。
しかし、選考に進むハードルが下がるということは、採用候補となる母集団が増えることが期待できる一方で、精度の高い見極めやコミュニケーションができていなければ、選考辞退をする候補者が増える事態も否めません。
過去記事2020年、中途採用で検索回数が上昇したキーワードとは?では、「リファレンスチェック」「適性検査 性格」「構造化面接」の3つのキーワードにも注目しました。今回は上昇率が上位には及ばず10選には入りませんでしたが、「選考フローにおけるマッチング精度向上」は、オンラインでの採用活動を進めるうえで、今後も重要なカギとなるでしょう。
日常・ワークスタイルの変化を、「従業員視点」で魅力ある職場づくりを考える機会に
調査対象となった2年間(2019年4月~2021年4月)の検索回数の推移からは、企業や職場に対して求めること、価値観や視点が変化していることがうかがえました。
大きな変化を求められる企業もあるでしょう。しかし、変化への対応は何も「新型コロナウイルス感染症対策のためだけ」ではありません。
厚生労働省の調査によると、「従業員と顧客満足度の両方を重視する」という経営方針を持つ企業は、「顧客満足度のみを重視する」という企業と比べ、売上高営業利益率、売上高ともに「増加傾向にある」とする割合が高くなっています。また、人材確保状況(正社員)についても、「量(人数)・質ともに確保できている」とする割合も高くなっています。
参考:取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク日常・ワークスタイルの変化を、企業が「従業員視点」で魅力ある職場づくりを考えるよい機会であるととらえ、今の課題、そして実現したい未来を、社内で考えてみてはいかがでしょうか。
▼本調査の結果は、下記よりまとめてダウンロードいただけます▼
入社を決めた理由の1位は? 年代、年収帯、居住エリア別に紹介

ビズリーチでは会員向け調査を半年に1回実施し、ビジネスパーソンの転職活動の実態や価値観などの変化をまとめて、企業の皆様にお届けしています。中途採用活動の改善・計画にご活用ください。