【ダメ面接官の10の習慣】ダメ面接官は自分と似たタイプを評価する

【ダメ面接官の10の習慣】面接官同士のフィードバックがなぜ重要か?


あなたの面接にあてはまる「ダメ習慣」はありませんか?

ダメ面接官の10の習慣
  • 明確な評価ポイントがない人は不合格にしてしまう
  • つい自分に似た人を評価してしまう
  • 短時間で人を見抜こうとしてしまう

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面接の質を高めるために人事担当者が取り組むべきこととは?

「ダメ面接官の10の習慣」では、ダメな面接官に共通する特徴を取り上げながら、面接の質を向上させ、採用力を高めるためのノウハウをご紹介。

本記事で紹介する「ダメ面接官の習慣 その4」は「ダメ面接官は自分と似たタイプを評価する」です。

曽和 利光氏

講師プロフィール曽和 利光氏

株式会社人材研究所 代表取締役社長

2011年に株式会社人材研究所を設立、代表取締役社長に就任。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を超える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開する。

強烈な心理的バイアス「類似性効果」が面接の評価を偏らせる

人間は、「自分と似ている人に好奇心を抱く」という強い心理的バイアス(先入観)を持っています。これを心理学では「類似性効果」といい、採用の世界でも無意識のうちに「類似性効果」が表れているケースがままあります。

以前参加した人事の事例研究会で、「上司は同じタイプのパーソナリティーの部下を高く評価する傾向がある」という某グローバルメーカーの人事考課事例が取り上げられていました。公平・公正が前提にあるはずの人事考課ですら、「類似性効果」は表れてしまうものです。

採用も公平・公正が前提であるのは同じですが、「面接で優秀な人材を不採用にしてもバレない」「面接を通過させ採用に至った人材が結局良かったのかどうかの判定は、短期的にはできない」ため、人事考課以上に結果に対する評価はあいまいなものです。そのため、面接官各自の評価基準に「類似性効果」が強く働いていたとしても周囲にはわかりづらいものです。しかし、採用において「類似性効果」を気にせず放っておくと、「面接官は自分と似た人ばかり高評価にしてしまう」危険性があります。

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会社は「あなたと同じタイプの人材がほしい」とは言っていない

求める人物像が一様で、組織にも統一感を求めていた、金太郎あめ的採用を重視していた時代ならいざ知らず、いまどきの会社は面接官に「あなたと同じタイプの人材を採用してほしい」とは考えていません。組織の創造力が企業間の競争優位性につながる現在においては「ダイバーシティ」が重要であり、組織に多様な人材が存在することが大切です。

また、これは私の実感ですが、採用担当者には優しい、寛容的な人が多く見受けられます。人事の仕事に就きたいという動機が「誰かの役に立ちたい」という場合が多かったり、そもそも人事という仕事がさまざまな人のビジネス人生における成長や活躍をサポートする仕事であったりするからかもしれません。

しかしながら、寛容的な面接官が自分と似たタイプの人ばかりを評価し採用していくと、組織には寛容的な人が増えていきます。すると、寛容さの対極に近いところにある頑固さや執着心が組織から失われていくため、会社の文化として目標達成意欲が低くなりかねません。これは高い頻度で起こる、組織が死んでいく要因の一つです。


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「類似性効果」を抑えるための「自己認知」

組織を硬直化させ、滅ぼす恐れすらある面接官の「類似性効果」。その起因となる無意識の心理的バイアスは、多くは存在を意識することで解消できます。つまり、「無意識のうちに心理的バイアスが働いている」と意識すれば、「類似性効果」はコントロールできるのです。

無意識の心理的バイアスを意識するための具体的な手段は「自己認知」です。自分がどのような人間なのか、思考や行動のパターンを正しく認識できていれば、知らず知らずのうちに自分の内に生じる気分を抑えられるようになります。「自分は体育会系出身なので、つい体育会系の人材を評価してしまう。よくよく考えると、この候補者は類似性ゆえのひいき目で見ているのかもしれない」と考えることができれば、より公平・公正な目で候補者を見極められるようになるでしょう。

「自己認知力」は他者からのフィードバックによって向上する

このように、面接官にとって「自己認知力」は大切なスキルの一つです。では、どうすれば「自己認知力」を高められるでしょうか。それは、他者から自分についてフィードバックを受けることに尽きます。
「自己認知力」を高めようと自分一人で自己分析していると、「確証バイアス」のわなにはまる恐れがあります。
「確証バイアス」とは、ある仮説を思い込んでしまったら、その仮説を支持する事実だけを受容し、そうでない事実を拒否する(無視する)という傾向です。「人は見たいものしか見ない」ため、一人で自己分析を行っても、それまでの自己像を拡大再生産させることになりかねないのです。

自分のことなのに、なぜ「自己認知力」が低くなるのかといえば、自分のなかに「見たくないもの」があるからです。「臭いものにはふたをしろ」という具合に、見たくないものは意識のなかの光が届かないところに押しやられるのですが、それをどうにか引き戻し、嫌でも真実として受け入れる。これが「自己認知力」を高めるためには重要となります。

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複数の面接官で面接し、評価をディスカッションすることで「自己認知力」は高まる

他者からのフィードバックは、たとえば日々の面接業務を通じても得られます。一人の候補者の面接で他の面接官と同席し、面接終了後に評価についてもディスカッション(すり合わせ)するのです。

候補者から聞いた情報量は同じでも、それぞれの面接官が評価した候補者のアセスメント(見立て)は同じとは限りません。この違いから、自分の人物評価における心理的バイアスが見えてきます。これにより、面接官にとって大切な「自己認知力」は高まるのです。経験的にいってこれ以上効果的な面接トレーニングはないと思います。

面接はスキルですから、方法を学んだからといってすぐ高いレベルで実践できるものではありません。多くの面接をこなし、さらに面接後の評価のディスカッションも何度も行い、時間をかけて「自己認知力」を高めていき、公平・公正に人を見極められるようになってください。

執筆:曽和 利光、編集:HRreview編集部

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