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「えがおの黒酢」や「えがおの肝油鮫珠(さめだま)」など健康食品の通販事業を展開する株式会社えがお(以下、えがお)。2019年に設立30周年を迎えた、熊本県を代表する企業です。同社は、熊本県勤務という地理的条件が前提となるなか、UIターン施策やビズリーチの利用を通して、県外からの人材採用に積極的に取り組み、毎年10名前後の採用に成功しています。
「世界の人々に健康と笑顔を創造し、しあわせな社会を創る」企業として、えがおではどのような取り組みのもと、イキイキと働く人財の育成と環境づくりを進めているのでしょうか。
総務部総務チームの上田淳也様に同社の特徴である「健康経営」について、人事部採用チームで中途採用を担当する久保友香・仲原真梨子様には「ダイレクトリクルーティング」や「UIターン採用」への取り組みについて、お話を伺いました。
健康経営への取り組み
はじめに、総務部総務チームの上田淳也様に、健康経営について伺いました。

上田様:弊社は健康食品を扱う企業です。「まずはお客様に健康をお届けする社員が健康でなければ」という創業者の思いのもと、自然と従業員の健康に意識を向け、いわば文化として根付いていました。「健康経営」という言葉を世間で耳にするようになってから、「私たちの取り組みはまさに『健康経営』ではないか」と気づき、2014年の新社屋の完成・移転を機に、制度として整理をし始めました。
現在行っている具体的な施策には、管理栄養士が常駐する社員食堂の設置や、社内での階段利用のルール化、トレーニングジムの完備、イントラネットでの健康に関する情報発信などがあります。これらの設備や制度などもありますが、何よりも健康に大切なのは「習慣化」。「誰にでもできること」をモットーに、無理なく楽しみながら取り組んでいただきたいと考えております。
今後は「イキイキ」「ワクワク」といった抽象的なメリットを、アンケートや健康診断等の各種数値から分析・可視化していき、より健康経営の目標や効果を明確に設計していきたいですね。

熊本で働く人の健康・活躍を支援するため、県内企業が課題の相談や情報交換をする場として、企業同士の横のつながりが広がっています。
上田様:もともと「熊本全体で、健康を目指していきたい」という思いが弊社にあり、協会けんぽ熊本支部に提案を行ったのが、「くまもと健康企業会」発足のきっかけです。発足時(2020年8月)は40社もの企業様にお申し込みいただき、熊本全体の健康を願って実践事例の紹介など連携を進めています。来年度以降もさらに参加企業社数を増やし、「熊本を日本一健康な街にすること」が今後の目標です。

「いいご縁の日」に送ったスカウト
その実践について、人事部採用チームで中途採用を担当される久保友香様・仲原真梨子様にお話を伺いました。

久保様:2018年にビズリーチを導入するまでは、人材紹介会社経由の採用がほぼ100%でした。しかし、出会える候補者の方の母集団に限界があることが課題でした。もっと採用のチャンスを広げるには、採用チャネルを増やすしかない。
当初、スカウト型のビズリーチで本当に採用できるのか、成功イメージが湧かず不安もありましたが、登録されている人材はハイキャリア層ということで、弊社の採用ニーズにも合致。ダイレクトリクルーティングを通して、東京や大阪など、厳しい競争がある大都市圏からUIターンしていただける人材の採用に挑戦しようと考えたんです。
久保様:人材紹介会社から候補者の紹介を待つのではなく、人材データベースから自分たちで候補者を探し出し、直接スカウトを送れることで、採用できる候補者の幅も広がり、採用スピードも上がりました。ビズリーチでは、気になる人材を見つけたら、こちらからどんどん動いてアプローチができます。スピード感や行動力を大切にしている弊社としては、非常にマッチしている点と感じています。

仲原様:先日11月5日は、語呂合わせで「良いご縁の日」ということで、スカウトの件名を「【11/5※良いご縁の日】共にお客様に喜ばれる●●部門を作りましょう!」としてみたのです。ちょっとした工夫でしたが、意中の候補者の方から返信をもらうことができました。ダイレクトに反応を得られるのは、ダイレクトリクルーティングのメリットの一つですね。
久保様:スカウト作成にあたっては、自社の魅力や求める人物像の言語化が必要です。そこで言語化された要素は、スカウトによるアプローチの際だけでなく、人材紹介会社に依頼をする人材要件にも盛り込めるなど、他の採用チャネルにも生きています。

(中途社員のうち、約4割がUIターン採用 ※同社採用ページより)
1年で、一人当たりの採用単価を30%削減
久保様:候補者のプロフィールを確認しながらスカウトを送るため、その時点で既に書類選考を兼ねているといえるでしょう。その結果、選考フローに進む方のマッチング精度が高まりました。ビズリーチだけではなく人材紹介会社経由も含む数値となりますが、書類選考の通過率は従来の10%から30%程度にまで上がりました。
2019年と2020年の採用単価を比較すると、一人当たりの採用単価はおよそ30%削減されました。採用人数は年によって異なりますが、2020年は前年よりも多く、またさまざまな職種において採用を実現でき、ダイレクトリクルーティングの効果を実感しています。

仲原様:弊社に興味を持っていただいたものの、ご自身のスキルが生かせる求人が出ればいつか働きたいと考えていたり、今すぐの転職は考えていなかったり。そのような候補者の方に向けて、キャリア登録の仕組みを導入しました。職務経歴書を弊社にご登録いただき、マッチした職種や求人が見つかり次第、ご連絡をさせていただくようにしています。
すぐに結果が出る施策ではありませんが、こういった積み重ねが未来の採用につながると思っています。

行政との連携、移住に伴う費用サポート
【具体的な施策】
・熊本市との包括連携
・熊本市移住支援金制度の利用・アテンド
・帰省費用の支給
・採用ブログにて、熊本での暮らし等について発信
仲原様:採用における行政との連携は重要だと考えています。弊社は熊本市と包括連携を結んでおり、熊本市公式移住情報サイト「熊本はどう?」では、移住を経て入社した社員がインタビューに答えています。会社として移住イベントに参加するなど、自社のコンテンツだけでなく、さまざまな場での発信に力を入れています。
仲原様:私も県外からの入社ですし、社内には県外から入社したメンバーが既に多く在籍しています。熊本は福岡よりもさらに南下したエリアで、移住のハードルが高い場所だという実感を持っています。だからこそ、熊本での暮らしを少しでもリアルに想像してもらうために、このような発信をはじめました。

その他、社内行事の報告、採用選考時によくいただくお問い合わせ、社員紹介や有志で参加した災害ボランティアのレポートなど、投稿してきた記事はさまざまですが、候補者の方にとって「ちょっと気になる」「知って安心」と感じていただける情報が届けられたらと思っています。週に1回は必ず更新しようと、継続して取り組んでいます。
久保様:引っ越しを伴う転職者の方には、会社としてサポートをできる限りしようと用意しています。例えば課長職以上の役職者に対する家賃補助を支給。単身赴任で転職される方には、帰省費用の支給も行っています。関東は月2回まで、九州は月1回まで、帰省費用を全額支給しています。
転職者を迎える体制にも、大切にしている「大家族精神」を
久保様:「自己紹介ポスター」は、A4サイズ1枚程度のもので、フォーマットもあり、名前ほど大げさなものではありませんが、受け入れる側の気持ちを高めるうえで、効果を発揮していると思います。
そして入社日には、部署メンバーから中途入社者の方へ、歓迎メッセージを書いた色紙や、部署メンバーの基本情報などを渡すようにしています。社内には社員食堂に加え、居酒屋もあるため(※現在は新型コロナウイルス感染症対策として、利用を自粛中)、そこで一緒に歓迎会として昼食や夕食をとってもらうなどしています。

仲原様:入社後の歓迎の体制・仕組みは、かつては部署それぞれに任せていましたが、現在は人事側で基本ルールを統一しています。配属された部署によってオンボーディングや歓迎度合いに差が出ないよう、意識的に転職者を迎え入れる仕組み・雰囲気を整えています。
仲原様:人事担当や人事役員との面談などでも、入社間もないUIターン人財の声を聞くようにしていますが、社内イベントもオンボーディングに重要な要素。イベントに参加してもらうことで、中途入社の方でも多くの社員と一気につながることができ、社員間の連携につながります。
「自社」と「熊本」の魅力を、セットで伝えていく
久保様:UIターン採用は、熊本にはない知見や発想・経験をされた方の入社につながるため、事業をドライブしていくうえで重要なもの。入社いただいた方には、できるだけ長く活躍いただきたいと考えています。しかし、特にIターン人財は定着するまで時間がかかるケースや、単身赴任の方で家族のご事情があり退職せざるを得ない方がいたこともありました。Iターン人財をはじめ、人財の定着に関しては、まだまだ工夫を重ねていく必要があると考えています。

仲原様:UIターン人財の場合、例えば、奥さまのご実家が熊本のため、「子育て環境として、熊本に移住したい」という理由から転職する、いわゆる「嫁ターン」の社員も一定数います。当社は現在、月の残業平均時間が8時間ほどのため、そのような、ワークライフバランスをしっかりと取りたい方への思いに応えることもできると思っています。こういったメリットもさらに積極的に打ち出しながら、UIターン採用を積極的に進めていきたいですね。
久保様:採用ブランディングや採用広報にも取り組み、採用力を強化することで、採用コストは今よりさらに抑えられると思っています。自社の採用力を高め、採用の入口となる応募やスカウトのマッチング精度を上げ、理念をともに実現できる人財を増やしていきたいです。
今後も自社の魅力と「熊本で働くこと」の魅力をセットで伝えながら、県外からも積極的に採用を進めていきたいと考えています。
※掲載情報は記事制作時点のものとなります。
執筆:佐藤 由佳、編集:瀬戸 香菜子(HRreview編集部)

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