ソーシャルリクルーティングとは? 運用の手順やポイント、企業の導入事例を紹介

社会やビジネス環境は年々、変化しており、それは採用においても同様です。採用に活用できるツールも現在ではさまざまで、そのなかの1つに「SNS」があります。

今回は、近年注目を集めるSNSを活用した採用方法「ソーシャルリクルーティング」を取り上げます。運用の手順・ポイントを解説するほか、成功した企業事例も紹介します。


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ソーシャルリクルーティングとは

ソーシャルリクルーティングとは

「ソーシャルリクルーティング」は、TwitterやFacebookなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用した採用方法です。日本では、2010年頃から主に新卒採用の手法として導入され始めました。

SNSの種類も増加し、20代を中心に幅広い年代で利用率も高まっています。総務省が令和3年6月に発表した「令和2年通信利用動向調査の結果」によると、令和2年(2020年)の国内SNS利用率は73.8%で、4人に3人ほどがSNSを利用していることになります。

SNSは求職者にとって身近な存在である一方、ソーシャルリクルーティングを活用している企業は、まだ一部だけです。ミスマッチ防止や低コスト化、多くのメリットもあるため、もし採用活動にSNSを活用していなければ、ソーシャルリクルーティングを検討するとよいでしょう。

参考:総務省「令和2年通信利用動向調査の結果」

採用にSNSを活用する理由

SNSは現在、多くの人にとって日常生活に欠かせないツールになっています。特に、求職活動が活発な20代におけるSNSの普及率は非常に高いです。

「通信利用動向調査の結果」によると、20代のSNS利用者の割合は90.4%、そのほかの世代でも幅広く普及率が上昇傾向にあります。20代の若手を採用したい企業にとって、SNSはアプローチしやすいツールといえます。

ソーシャルネットワーキングサービスの利用状況
参考:総務省「令和2年通信利用動向調査の結果」

上図のとおり、全体のSNS利用率も上昇しており、SNSの普及とともにソーシャルリクルーティングは近年、採用手法としても注目を集めています。

ダイレクトリクルーティングの手法の1つ

「ダイレクトリクルーティング」は、企業側が「欲しい」人材を採用するために、企業自身が採れる手段を主体的に考え、能動的に実行する採用活動です。具体的には、人材紹介会社、スカウト型サービス、自社の社員に人材を紹介してもらうリファーラル採用などがあります。

「ソーシャルリクルーティング」は、SNSを通じて情報を発信し人材にアプローチするため、ダイレクトリクルーティングの1つに含まれますが、ダイレクトリクルーティングは、手段を問わずに候補者に対して能動的な採用活動を行うことを指します。つまり、ダイレクトリクルーティングのなかでも、SNSを用いて採用活動を行う手法を「ソーシャルリクルーティング」と呼ぶのです。


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ソーシャルリクルーティングに使用されるSNSの種類

ソーシャルリクルーティングに使用されるSNSの種類

ひと口に「SNS」といっても、ユーザーごとに使用するツールはさまざまです。下の図はSNSの種類ごとに特徴や利用年代を示したものです。この項目では、ソーシャルリクルーティングで主に使用されるSNSを紹介します。

参考:Social Media Lab「2022年11月更新!性別・年齢別 SNSユーザー数(Twitter、Instagram、TikTokなど13媒体)」

Facebook

世界規模で浸透しているSNSの1つが、Facebookです。顔写真や年齢、職業、学歴など、プロフィールを登録して利用しているユーザーがほとんどです。

プライベートでの交友関係のみならず、ビジネス上の人脈を広げる目的で活用しているユーザーも少なくありません。

また実名登録が必要なため、人材の質が高くなる特徴があります。自社のアカウントを利用して、ブランドイメージの発信や求人告知をすると質の高い人材にリーチする可能性があるでしょう。

Twitter

140文字程度の短文テキスト、画像、動画を投稿できる世界的にもメジャーなSNS。Facebookと異なり、実名を登録しなくても利用できるため匿名性が高く、気軽に利用しているユーザーが多いです。

Twitterには他アカウントの投稿を転載できるリツイート機能があり、拡散性が他のSNS以上に高い傾向にあります。そのため、自社の情報の発信や、ブランディングを強化するうえで、より拡散力の高いSNSを必要とする場合はTwitterがおすすめです。

注目される投稿内容であれば、より広い範囲に届く可能性があり、応募者の増加も狙うことができます。また、Twitterは速報性がより高いSNSなので、社内イベントのお知らせなど、最新情報を発信するのに向いています。

Instagram

主に写真や動画を投稿する形式で、世界的にも人気の高いSNSです。画像や動画にテキストを挿入し、スライドショーのような形式で投稿できるストーリーズ機能も利用できます。

10〜20代の流行に敏感な層に人気が高いので、若年層にリーチする発信を行いたい場合におすすめのSNSです。

また、画像や動画のコンテンツがメインのため、従業員の普段の働き方や、職場の雰囲気などを伝えたい場合に、InstagramはマッチしたSNSといえます。特に、デザイン系や販売系の企業に向いたツールです。

LINE

1対1、もしくはグループでのリアルタイムチャット機能が特徴なのがLINE。幅広い年齢層でアクティブユーザーが多く、日本ではユーザー数1位のSNSです。

LINEは、チャットなどのコミュニケーションが強みなので、Q&Aや顧客サポートに活用できます。

また、「オープンチャット」と呼ばれる匿名で参加できるチャットサービスがあります。LINEの「友だち」になっていなくてもトークをしたり、情報をキャッチしたりすることができます。自社の採用専用のオープンチャットを立ち上げれば、匿名で参加できるため気軽に参加する求職者もいると考えられ、求職層にリーチする投稿を行えます。


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ソーシャルリクルーティングのメリット

ソーシャルリクルーティングのメリット

SNSを通じて、人材にアプローチするソーシャルリクルーティング。そのメリットを、以下の4つの項目にわけて紹介します。

  1. ミスマッチ防止
  2. 高い発信力
  3. 人柄やスキルの把握
  4. 低コスト

ミスマッチ防止

メリットの1つは、企業と人材間のミスマッチを防止できる点です。

SNSは気軽にコミュニケーションを取れるツールとして多くの人に利用され、求職者や学生などと、直接連絡を取り合えることも大きな特徴です。求職者が企業の投稿に、自由にコメントやリアクションができます。そうした距離感において、求職者は企業への理解を深められるため、ミスマッチの防止に役立ちます。

また、企業の情報や職場の雰囲気が分かる写真などを日ごろから発信することで、求職者がより自社への理解を深め、ミスマッチの防止が期待できるでしょう。

高い発信力

SNSを利用する最大のメリットは、情報の高い発信力と拡散力。企業の業務内容や実績、従業員の働いている様子などを、SNSを通じて発信できます。

企業の魅力を多くのユーザーに発信すれば、認知度アップに加えて企業のブランディングにもつながります。投稿のなかで、ユーザーから共感を集めた情報はシェアされ、より多くのユーザーに拡散されるようになります。

多くのユーザーの拡散によって、それまで企業について知らなかった層にまでリーチできる可能性があり、採用候補者数を増やせます。

人柄やスキルの把握

ソーシャルリクルーティングにおいては、候補者の人柄やスキルを把握できる点もメリットです。

企業は、候補者がSNSで行っている発信を閲覧できます。それらの投稿から、候補者の人柄やスキルを理解できるという側面があります。面接や履歴書だけでは伝わらない情報がSNSから把握でき、選考にいかすことができます。

低コスト

採用コストが抑えられる点も、ソーシャルリクルーティングのメリットといえます。

求人サイトや人材紹介会社を利用する際は、有料の場合がほとんどで、採用コストとして、数十万円から、サービスによっては数百万円かかる場合もあります。しかし採用に用いられる主なSNSは、基本的に誰でも無料で利用、運用ができます。自社のアピールや採用情報を、SNSを通して無料で発信できるのは大きなメリットといえるでしょう。

ソーシャルリクルーティングのデメリット

ソーシャルリクルーティングのデメリット

無料で高い発信力を持ち、より広い層にリーチできるソーシャルリクルーティング。多くのメリットがある一方で、利用するうえでの注意点やデメリットもあります。2つの項目にわけて紹介します。

炎上リスク

ソーシャルリクルーティング最大の注意点は、批判的なコメントがインターネット上などに集中的に投稿される炎上のリスクです。

企業のアカウントでも、配慮のない表現や軽率な投稿をしてしまい、炎上したケースがあります。企業としての看板を背負って発信していることを忘れて、配慮のない投稿を行わないように注意する必要があるでしょう。

SNSの高い発信力、拡散力は強力な武器であるとともに、批判的なコメントも拡散されやすいという特徴を持ちます。この点に留意する必要があるでしょう。ただし、炎上を過剰に恐れて、発信すべき情報を出し惜しみする必要はありません。企業としてどのような情報を発信し、どのような投稿を避けるかをあらかじめ決めておくことが重要です。

定期更新が必要

もう1つの注意事項は、定期的に更新する必要がある点です。

企業のSNSアカウントを作成しても、それを運用していかないと意味がありません。更新をほとんど行わないSNSアカウントは、ユーザーから見つけてもらえる可能性が低いことに加え、もし見つかったとしても、新しい情報を更新しなければフォローされずにスルーされてしまいます。

そこで、アカウントを作成したら定期的に情報を発信することを心がけます。そのためには一定の労力が必要になります。さらに、すぐに効果が出るとは限らないため、中長期的な視点を持つことも必要です。


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ソーシャルリクルーティングを行う手順

実際にソーシャルリクルーティングを行うために、手順を把握しておきましょう。以下の手順で進行することで、ソーシャルリクルーティングをうまく活用できます。

  1. ターゲットや目的を決める
  2. 各SNSの特徴を把握する
  3. 運用ルールを決める
  4. コンテンツ作成
  5. 選考

ターゲットや目的を決める

まず「どのような人材を採用したいか」、自社のターゲットとなる人材イメージを明確にします。「採用ペルソナ」を設定し、自社が採用したい人物像を詳しく定義するとよいでしょう。そして、そのターゲットに訴求できるようなSNSを運用することが重要です。

「自社の働き方などに共感してくれる人材を、何人採用したい」「将来の幹部候補を探している」など、目的を具体的にすればするほど、ターゲットにアプローチしやすくなります。

各SNSの特徴を把握する

ターゲットとなる人材のイメージを検討したら、次に自社とマッチしたSNSを決めます。

いくつものSNSを同時に開設し採用活動を行うと、それぞれの運用がおろそかになる恐れが生じます。そのため、運用するサービスをある程度絞り込む必要があります。

異なる特徴のあるSNSを「ソーシャルリクルーティングに使用されるSNSの種類」の項で紹介しましたが、10〜20代の流行に敏感な層にはInstagramを活用するなど、自社の採用したいターゲットと親和性のあるSNSを選ぶとよいでしょう。

運用ルールを決める

次に、運用ルールをあらかじめ決めておくようにします。以下の項目ごとにわけて、ルールづくりを行うとよいでしょう。

更新頻度

更新は少なすぎてもフォロワーが増えていきませんが、多すぎても煩わしさをユーザーに与えかねません。そのため、1日1〜3回程度で、無理なく続けていくことが重要です。

返信のタイミング

SNSにおける返信はなるべく早く行うとともに、時間帯には注意しましょう。たとえば夜中など、就業時間外にメッセージを届けてしまうと、ユーザーから「時間外労働の多い企業」というイメージを持たれる可能性があるので、慎重に行いましょう。

投稿内容

投稿内容は事前にある程度、決めておきましょう。企業サイトに掲載されていない従業員同士のやり取りや、職場の雰囲気が分かる内容だと、ユーザーに親近感を持ってもらいやすいです。企業の価値観が伝わるエピソードや、社員のインタビューなど、応募者が実際に働くことをイメージできる内容にすると、求職者側にとっても優良な情報源になります。

チェック体制

SNSで配慮に欠けた表現や、ユーザーに不快感を与える内容を投稿すると、炎上するリスクがあります。そのため、担当者1人に運用を任せるのではなく、投稿内容を複数の視点でチェックするようにします。性別、年代が異なる複数の社員が確認すると、より精度の高いチェックが可能です。

コンテンツ作成

コンテンツの内容は、ターゲットとSNSの特徴から検討します。定めた運用ルール内で、可能な限り企業のありのままの姿を投稿していくとよいでしょう。具体的には、以下のような例が挙げられます。

  • 仕事内容や業務中の様子
  • 社内イベント
  • 社員の声
  • 社員のプライベートや休憩時間の様子

SNSは、どの投稿がどれくらいの人数に見られたか、何人がクリックしたかなど、各種データを確認できます。そのため、更新するだけではなく、投稿を分析しましょう。より広く拡散される内容や、ターゲットが反応してくれる投稿に近づけるように、内容をブラッシュアップしていくと、ソーシャルリクルーティングの効果がより高まります。

選考

自社アカウントの投稿に興味を持ってくれたユーザーのSNSプロフィールや投稿を見て、求めている人材に近いユーザーがいるかを確認し、選考につなげられるか、検討します。ただし、SNSで発信されている情報をうのみにするのではなく、参考程度に活用することがポイントです。

また、一方的なアプローチになりすぎると、求職者も戸惑ってしまうケースがあります。双方のコミュニケーションをいかすように心がけましょう。

ソーシャルリクルーティングを成功させるポイント

ソーシャルリクルーティングを成功させるポイント

SNSには、数多くのアカウントがあり、日々さまざまな情報を発信しています。そうしたなかで、より効果的に自社をユーザーにアピールし、採用につなげるためには工夫が必要です。ソーシャルリクルーティングを成功させるためのポイントを紹介します。

継続的に運用し情報を発信する

SNSは、一度情報を発信して終わりではありません。継続的に運用していくことでフォロワーが増えるなど、ツールの強みを発揮する性質があります。

ユーザーが自社に興味を持ってもえるような内容を検討するとともに、定期更新を決めた場合は更新日を守り、自社が採用活動をSNSで行っているということをアピールする必要があります。

双方向のコミュニケーションであることを意識する

SNSは、一方的な情報発信ではなく、ユーザー同士のコミュニケーションを促進するためのサービスです。採用においてもこの強みをいかすように心がけ、自社に興味を持ってもらうなど、目的を意識してやり取りを行う必要があります。

候補者となるようなユーザーとコミュニケーションを取ったり、求職者の疑問に明確に回答したりするなど、双方向のコミュニケーションを意識して運用することが大切です。


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ソーシャルリクルーティングの企業事例

ソーシャルリクルーティングの企業事例

実際にソーシャルリクルーティングを実施している企業が日本にもあります。使用しているSNSは異なりますが、それらの企業をSNSごとに紹介します。

講談社

大手出版社「講談社」は、Twitterを活用して採用活動につなげています。主な内容は、募集の告知や、インターンの様子の紹介です。顔文字の使用や、マンガ家による就活応援イラストなども投稿し、親しみやすい雰囲気が伝わってくるアカウントになっています。

参考:講談社 採用担当 – Twitter

三井住友カード

三井住友カードは採用専門アカウントをInstagramに設けています。

投稿内容は、社内の雰囲気や働いている従業員の素顔が伝わるような、従業員にフォーカスしたものが多いです。「内定者就活アドバイス」という企画もあり、内定者に自己紹介や就活アドバイスを投稿してもらうなど、親しみやすい雰囲気を発信しています。

参考:三井住友カード株式会社 (新卒採用アカウント) – Instagram

ニトリ

家具大手「ニトリ」は、LINEを使ったソーシャルリクルーティングを実施しています。

新卒採用専用の公式アカウントがあり、「リッチメニュー」と呼ばれるトーク画面下の表示ボタンから、他のSNSや採用サイトに移動できます。友だちに追加さえすれば、LINEの画面上だけですべての採用情報を閲覧できるため、便利なツールとして利用されています。

参考:ニトリ 新卒採用 – LINEアカウント


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まとめ

大手企業も取り入れ始め、注目を集めているソーシャルリクルーティング。SNSを用いた採用活動は高い発信力に加え低コストなどのメリットがあるほか、企業のブランディングにも効果があります。

定期的にユーザーが興味を抱く内容を投稿したり、中長期的な目線でアカウントを運用したりしていくことも、ソーシャルリクルーティングを行ううえでのポイントです。本記事を参考にして運用上のポイントを押さえ、上手に活用していくヒントにしてください。

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著者プロフィール株式会社ケイ・ライターズクラブ

書籍やムック、企業系冊子、Web記事、動画など、さまざまな教養の実用書籍から企業・大学案内、エンタメ系ムック、官公庁や地方自体のWEB記事など、幅広いジャンルのコンテンツ制作をワンステップで行う編集プロダクション。採用や人事、マネジメント、転職などに関するコンテンツも多数制作している。