キャリア採用とは? 中途採用との違い、採用の進め方やポイントを詳細解説

キャリア採用とは? 中途採用との違い、採用の進め方やポイントを詳細解説

就職情報サイトや企業の採用ページなどでよく見かける「キャリア採用」という言葉。中途採用との募集とは何が違うのでしょうか。

この記事では、キャリア採用と中途採用、ジョブ型雇用などとの意味の違いや、企業がキャリア採用を行うメリット・デメリットを解説するとともに、キャリア採用の進め方も詳しく解説します。

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キャリア採用とは?

キャリア採用とは?

キャリア採用とは、これまでに就業経験があり、自社と同じ業界あるいは職種の経験がある人材を採用することです。同じ意味で「経験者採用」という言葉が使われることもあります。

ポイントは「自社と同じ業界あるいは職種の経験がある」という点です。これにより、即戦力となり得る知識や経験をもった人材を採用できます。

中途採用との違い

中途採用は一般的に、業界や職種の経験の有無を問わず、就業経験があることだけが要件となります。そのため、自社と同じ業界あるいは職種の経験を必要とするキャリア採用と異なり、第二新卒者や業種・職種の未経験者もその範囲に含まれます。

ちなみに中途採用は、決まった時期にのみ採用を行う新卒採用と比べ、不定期に行う採用であることも特徴です。

ジョブ型雇用との違い

ジョブ型雇用は、職務の内容を職務記述書等にはっきりと規定して雇用する形態を指します。欧米の企業で広く普及していますが、近年は日本にも浸透しつつあります。基本的には経験者が採用される傾向にあり、キャリア採用との違いは経験の有無ではなく、職務があらかじめ明確に規定されているという点です。

新卒採用との違いとは?

新卒採用は、その年に学校を卒業する人を対象とした採用です。通常は就業経験がなく、初めて社会人になる人を対象とします。そのため業界や職種の経験は問われません。

また、採用のタイミングとしては4月に入社する人を一括採用するケースが大半です。

キャリア採用が注目される理由

キャリア採用が注目される理由

キャリア採用が注目される背景には、終身雇用制度の崩壊とともに転職がより一般的になってきたことが挙げられます。前職で培ったスキルや経験をもつ人材が転職市場に増え、採用側もそうした人材を求めていることから、キャリア採用は需給共に高まっています。

スピードを増す時代の変化に対応するために、自社にないスキルや経験をもつ人材を新たに採用したいというニーズが高まっていることも理由のひとつです。現代はテクノロジーの発展がめざましいことから、特にIT関連のスキルを保有する人材の需要が高まりを見せています。

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キャリア採用を行うメリット

キャリア採用を行うメリット

多くの企業が取り入れているキャリア採用には、大きく分けて3つのメリットがあります。

  • 事業成長のスピードを上げられる
  • 自社に新しい文化やノウハウをもたらしてくれる
  • 教育コストが比較的低い

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

事業成長のスピードを上げられる

あらかじめスキルや経験をもっている人を採用するため、入社後のある程度早い時期からの活躍が期待できます。このため、新卒採用者を何年もかけて育てるよりも早く事業を成長させられるでしょう。競合他社に先んじるためには、スピードが大切です。

自社に新しい文化やノウハウをもたらしてくれる

自社と同じ業界や職種での経験があったとしても、企業によって文化やノウハウは異なります。キャリア採用によって入社した人材は、自社に新しい考え方や価値観をもたらしてくれることが期待できます。異業界や異職種の出身であれば、なおさらです。

このように、異なる考え方や価値観をもつ人を迎え入れることはダイバーシティ&インクルージョンの観点からも有益です。ダイバーシティとはさまざまな属性をもつ多様な人材を活用することを指し、インクルージョンは価値観や個性の違いを受容することを指します。ダイバーシティ&インクルージョンは、この2つを行い、共存共栄させながら、組織を成長させる取り組みです。

教育コストが比較的低い

キャリア採用者は社会人経験があるため、既にビジネスマナーや社会人としての基礎はできています。そのため、教育コストが新卒採用者等に比べると低く、現場の負担が減るというメリットがあります。

ただし同じ業界や職種の経験者であったとしても、企業が異なれば覚えなければならないことは数多くあります。そのため、「経験者だから指導はいらない」と思い込まずに、丁寧にフォローする必要があります。

キャリア採用を行うデメリット

キャリア採用を行うデメリット

キャリア採用の場合、未経験者や新卒採用よりも給与相場が高くなることが一般的です。企業がキャリア採用を実施する場合、その点を念頭においた予算組みが必要になるでしょう。

ただし、教育コストや入社してから第一線で活躍するようになるまでのスピードを考えれば、十分な費用対効果を見込めるでしょう。

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キャリア採用の注意点

キャリア採用の注意点

キャリア採用には、新卒採用と異なる採用の難しさがあります。ここからはキャリア採用を行う際の注意点を確認していきます。

即戦力となることを期待しすぎない

とかくキャリア採用というと即戦力であることが期待されがちですが、「入社してすぐに第一線で活躍して利益に貢献してくれるはず」と考えているならば、それは期待しすぎかもしれません。

専門知識や経験があっても、経営者、社風、スタッフ、顧客など環境がまったく異なる場所ではすぐに実力を発揮することは難しいものです。即戦力を期待しすぎず、丁寧に教育して会社になじんでもらうほうが結果として早く活躍できるようになり、その後の定着にもつながります。

オンボーディング施策をしっかりと行う

中途入社者がいち早く職場に慣れ、十分にパフォーマンスを発揮できるようになるかどうか、カギを握るのは「オンボーディング」です。オンボーディングとは、新しく組織に入った中途入社者に職場に慣れてもらい、自身のスキルを発揮して活躍してもらえるまでの一連のプロセスを指します。新卒者に限らず全ての社員者に対して、組織への定着・戦力化を促す継続的な取り組みを行うことが重要です。

スキルや経験だけに注目しない

キャリア採用は自社と同じ業界や職種の経験がある人を採用するものであるため、「どのようなスキルや経験をもっているか」ということが重視されがちです。しかし、その人の魅力的なスキルや経験だけを見て、他の要素はあまり検討せずに総合的に「よい」という判断を下してしまう「ハロー効果」に陥らないよう注意が必要です。

ハロー効果は認知バイアスのひとつで、何かを評価するときに目立ちやすい特徴に影響されて、他の特徴に適正な評価ができなくなる現象です。

スキルや経験だけでなく、候補者の考え方や人となり、自社の価値観との相性もよく見たうえで検討しましょう。スキルや経験は後からでも身につけられますが、考え方や人となり、相性は簡単に変えられるものではないからです。後述の「キャリア採用の進め方(募集時、選考時)」にて、スキルや経験だけに注目せず、選考を行う方法を紹介します。

キャリア採用の進め方(募集前)

キャリア採用の進め方(募集前)

ここからはキャリア採用の具体的な進め方を解説します。まずは、募集する前にすべきことを確認しましょう。

会社と現場の求める人物像を洗い出す

まずは今後の事業計画や配置転換予定等も鑑みながら、会社として望む人材像を策定します。どのようなスキル、経験、配属の志向、価値観、人間性をもつ人物が必要なのか検討しましょう。

次に現場のニーズを把握しておきます。実は現場の社員はスキルや経験をあまり重視しておらず、人間力を重視するというケースも少なくありません。「仕事は入社してから教えるので、スキルがあまりなくても問題ない」「性格は入社してから変えることができないので、人となりを重視してほしい」という声があがる可能性もあります。現場社員の本音がどこにあるか正しくヒアリングできるように努めましょう。

求める人物像の必要要件を絞り込む

先述した人物像の洗い出しをもとに、必要要件を絞り込みます。完璧な人間はいないので、要件は盛り込みすぎないことが大切です。盛り込みすぎると適任者が現れず、選考が難航してしまいます。要件の絞り込みに迷う場合は、最低限満たしてほしい要件と、できれば満たしてほしい要件に分けてリストアップすることも有効です。

また、要件を絞り込む際は、性格や気質のように入社後の育成が難しい要素と、スキルや経験のように入社後に育成可能な要素を分けて考えたほうがよいでしょう。スキルや経験は入社後の教育によりフォロー可能なため、採用では性格や気質などを重視します。

また、候補者のもつスキルや経験は少し割り引いて考えておくことも大切です。候補者がもっているスキルや経験が、そのまま自社で生かせるとは限りません。加えて、会社が変わり、環境が変われば、同じパフォーマンスを発揮することは難しいためです。

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キャリア採用の進め方(募集時、選考時)

キャリア採用の進め方(募集時、選考時)

続いてキャリア採用の募集時と選考時の進め方についてみていきます。スキルや経験だけを見ないようにするためには、面接の順番と内容に工夫が必要です。

最初の面接では「人」を見る

最初の面接では、専門スキルや経験以外を見ることに注力しましょう。具体的にはその人の性格や気質、自社の価値観との相性などを見るようにします。これはスキルや経験にとらわれず、まずはこうした入社後の育成が難しい要素の部分で要件を満たす人材を見つけるためです。

最初の面接は現場のスタッフではなく人事が行うとよいでしょう。現場のスタッフの場合、どうしても専門スキルや経験の話題になりがちなためです。

面接2回目以降はキャリア、スキル、経験を見る

2回目以降の面接では、キャリアや専門スキル、経験を確認したり、実技試験やロールプレーイング等を行ったりしましょう。実際にそのスキルや経験が生かせるのかどうかをはかるため、現場のスタッフも採用選考に関わってもらいます。

企業理念や業務のやりがい・裁量を伝える

自社の理念や業務のやりがい・魅力、候補者に任せたい裁量などを面接で伝えることも大切です。

転職が一般的になったことで、企業の人材獲得競争は激しくなっています。候補者も業務内容や待遇、自分のキャリアを生かせる環境かどうかなどをシビアに比較して転職先を決定します。こうした背景のなかで自社が求める人材を採用するためには、候補者への積極的なアピールが必要となります。

ただし、入社後ギャップやミスマッチを防ぐために、RJP(Realistic Job Preview)も意識しておきましょう。RJPとは現実的な仕事情報の事前開示という意味です。自社のよい面だけをアピールするのではなく、悪い面も含めて実態に即した情報を候補者に伝えておきます。

キャリア採用の進め方(内定〜入社まで)

キャリア採用の進め方(内定〜入社まで)

内定を出したら終わりではなく、内定者の不安を軽減するためのフォローを必ず行います。人事や現場社員との面談等のコミュニケーションを通して、不安や懸念点の解消を行います。

また、キャリア採用者にも教育は必要です。必要な研修を洗い出し、手配しておきましょう。入社後に現場でフォローを担当する社員も決めておきます。フォロー担当者は通常業務に加えて新しく入るメンバーのフォローをすることになるので、別の業務の負荷を減らしたり、インセンティブを用意したりするなど、フォロー担当者のケアを行うことも忘れてはいけません。

キャリア採用が多く行われている職種

キャリア採用が多く行われている職種

最後に、キャリア採用が多く行われている職種を紹介します。どの職種でも未経験採用を行うケースはありますが、以下の職種は比較的キャリア採用が多く行われています。

  • 営業

営業は経験とスキルがものをいう専門職です。すぐに独り立ちできる分野ではないため、未経験から育てるには大変なコストがかかります。そのため、営業職のキャリア採用を行う企業は数多くあります。また、前職で培った人脈が転職後に生かせるケースもあります。

  • 営業企画

さまざまな企画を立ててきた経験が確度の高い企画提案につながる職種です。営業経験と企画経験の両方があると、営業成績につながりやすい提案ができると考えられています。

  • 経理

経理のルールは法令で定められていて、どの企業も同じルールのもとに経理業務を行っています。そのため経験者は即戦力といえます。決算業務の経験があれば、企業にとってより戦力となるでしょう。

  • 財務

財務に関わる専門知識や資金調達のためのノウハウは、業界が異なっても生きるスキルです。また、不明点を徹底的に追究するなど、正しさを見極めるための技術を身につけるには、ノウハウや経験が必要となります。

  • 法務

法務は、法令の専門的な知識を実務で生かすすべを知っている必要があります。経験のある法務は過去に多くの事例を担当してきているためリスク回避の方法を知っているほか、トラブルが発生した場合も適切に対応でき、コンプライアンス面でも重宝されます。

  • 人事

人事は営業と同様に経験や場数に裏打ちされるスキルがあり、それは応募者を見極める目だといわれています。また、イレギュラーなスケジュールへの対応力や、現場に求められている人材配置の判断なども、経験者のほうが卓越しています。

  • 研究、開発

経験者は研究や開発における時間感覚やコスト意識が身についているため、企業での研究や開発の勘所をおさえています。そのため企業で結果を出しやすいと考えられています。

  • SE(システムエンジニア)、プログラマー

未経験者可となっている募集もありますが、特に先進的な企業ではスキルと経験が豊富で熟達したSE、プログラマーを求める傾向にあります。自社に新しい技術を取り入れたい場合などはその傾向が顕著です。

  • クリエイティブ系(デザイナー、Webディレクターなど)

いずれも専門的な知識が必要で、場数を踏むほどに応用力も身につき、さまざまな表現ができるようになります。人手不足などの事情を抱えた企業では未経験者を雇用する場合もありますが、高いアウトプットが求められる現場ではキャリア採用が一般的とされます。

キャリア採用を成功させて、事業の成長を後押ししよう

キャリア採用を成功させて、事業の成長を後押ししよう

自社と同じ業界や職種での就業経験がある人材を採用できるキャリア採用は魅力的ですが、スキルや経験だけを見て判断してしまうと、自社が本当に求める人材を見極められないことも。人となりを見ることも忘れず、自社にとって最善の採用を追究していきましょう。

■記事全体の参考資料
稲田 行徳 (著)「採用の教科書2 即戦力採用は甘い罠? 中小企業向け、求める人材像の設定編』ビジネス・ベストセラー出版刊
曽和利光(著)「人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則」ソシム刊

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著者プロフィール株式会社ケイ・ライターズクラブ

書籍やムック、企業系冊子、Web記事、動画など、さまざまな教養の実用書籍から企業・大学案内、エンタメ系ムック、官公庁や地方自体のWEB記事など、幅広いジャンルのコンテンツ制作をワンステップで行う編集プロダクション。採用や人事、マネジメント、転職などに関するコンテンツも多数制作している。