社員や企業の成長につながる目標設定の方法とは?

目標設定の方法を解説。目標設定に役立つ「SMARTの法則」とは?

人材育成において、目標の設定とその管理は非常に重要です。しかし、どのようなことを意識して目標を設定すればよいのか、分からない人も多いのではないでしょうか。適切な目標設定は、人材育成はもちろん、企業の成長にもつながります。この記事では、人材育成に効果的な目標設定のコツや、目標を設定した後の管理のコツを紹介します。

1. なぜ人材育成において目標設定・管理が必要なのか?

なぜ人材育成において目標設定・管理が必要なのか?

目標設定は、社員一人一人の能力・スキルを伸ばす方法の一つです。そして、目標設定とその管理を適切に実施できれば、本人の成長だけでなく、自律性を発揮できる組織風土の形成にもつながります。結果として業績アップや企業力の向上も期待できます。つまり、適切な目標設定は組織を率いる管理職や経営層にとっても非常に重要なのです。

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2. 人材育成に効果をもたらす目標設定・管理のコツ

人材育成に効果をもたらす目標設定・管理のコツ

ここでは、目標設定とその管理を効果的に実行するために必要な環境や心構えについて紹介します。

2-1. 対話の時間を大切にする

上司と部下とのミーティングなど、対話の時間をしっかり取ることで、上司から部下へ一方通行の目標設定を避けることが可能です。目標設定やその管理を行う際は、数字を押し付けるだけでなく、定性的な成長なども見込んだうえで、それを明確に言語化し、共有することが望ましいといえます。

また、「目標を設定したら、あとは評価のタイミングまで何もしない」という関係性は、好ましくありません。一度決めた目標を変えずにやり遂げる力も大切ですが、組織もビジネスも環境の変化が激しい昨今においては、「目標を途中で変更すべき」事態もあり得るのです。目標設定後も、上司は部下との対話の時間を増やし、部下が仕事をするに当たっての悩みや本音を聞き、より深くコミュニケーションを取って、掲げた目標の進捗確認や見直しを適切に行いましょう。

2-2. 難度高めの目標を持たせる

「難度が高過ぎる目標の設定は良くない」といわれることがありますが、一概にそうともいえません。もちろん、掲げた目標の内容が抽象的だったり、実現性が極めて低くただの理想だったりするケースなどは、目標設定の本来の役割が果たせず、意味のないものとなってしまうでしょう。

しかし、どんなに難度が高い目標であっても、具体性があり、そのために必要なプロセスなどが明確であれば、単なる理想ではなく、目指すべき目標となります。目標は行動するきっかけを与えるものです。難度が「高めの目標」と「低めの目標」を設定し、モチベーションをうまくコントロールしましょう。

2-3. 社員の置かれている状況を俯瞰する

目標設定の段階や、その後の目標管理プロセスにおいても、視座を高く、俯瞰して状況を把握できているとよいでしょう。市場のニーズや業界動向などの「外的環境の状況」と、社員自身の能力やスキルなど「個々の社員の状況」の双方を俯瞰し、目標設定が適切に行われているか、常に意識できているとよいでしょう。

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3. 目標設定に役立つ「SMARTの法則」

目標設定に役立つ「SMARTの法則」

SMARTの法則とは、ジョージ・T・ドランが提唱した目標設定法で、目標達成の可能性を高める「Specific(明確性)」「Measurable(計量性)」「Assignable(割当設定)」「Realistic(実現可能性)」「Time-related(期限設定)」という5つの成功因子で構成されています。目標達成のために、数多くのビジネスパーソンに活用され続けている手法の一つです。ここでは、SMARTの法則の詳細について紹介します。

Specific(明確性)

Specificには「明確な」「具体的な」「特定の」といった意味があります。目標は、ただ漠然としたものを立てておけばよいわけではありません。明確な目標がない場合、どのようなアプローチで、誰と、どのくらいの期間で達成すべきか迷ってしまいます。これは、人材育成目標だけに当てはまるものではありません。経営目標や売り上げ目標、個人目標など、さまざまなシーンの目標にいえることです。そのため、成長した自分や、チームの姿を具体的に思い描けるような、明確な目標設定が大切になります。そうすることで、目標達成に向けたパフォーマンスが高まり、結果的には企業の発展につながるでしょう。

Measurable(計量性)

Measurableは「測定可能な」という意味を持ちます。数字で表せる目標を「定量目標」と呼びますが、これを設定しておけば、目標の達成率や進捗状況を可視化して確認しやすく、モチベーションも維持しやすいでしょう。人材育成においては、例えば「所属部署内の案件業務を、1カ月以内に3件以上こなせるようになる」など、具体的に数値化した目標が、定量目標に当たります。

一方、会社内でのポジションや、身に付けたいスキルなどに対する目標を「定性目標」と呼びます。人材育成における定性目標は、例えば「管理職に就くために1カ月以内にリーダー研修を受け、リーダーとしての基礎を身に付ける」などです。定量目標と定性目標の双方を意識的に設定することで、よりよい人材育成が実現していきます。設定された目標の達成率を常に意識しながら取り組みましょう。

Assignable(割当設定)

3つ目の成功因子はAssignableです。Assignableは「割り当てることができる」「指定できる」などの意味を持ちます。特に、チームとして目標を立てて人材育成を図るときは、非常に重要な因子です。チーム目標を立てるうえでは「誰が」「何を」「どのように」実行するのかが明瞭な目標の設定が重要です。業務を正確に割り当てていないと、業務スピードに差が生まれたり、業務量の負担に差が出てしまったりして、チーム内の結束を壊しかねません。ひいては、チームが崩壊するような、最悪の状態を招いてしまうことも考えられます。

逆にいえば、正確に業務を分担することによって円滑なチーム運営が可能になり、生産性が上がったり、人的要因のミスを防いだりすることにもつながっていきます。結果的には、チーム一丸となって、大きな目標を達成できるでしょう。チームとしての大きな成功体験は、コミュニケーション能力の向上や、自信にもつながり、人材育成に大きな役割を果たすため、非常に効果的です。

Realistic(実現可能性)

続いての成功因子はRealisticです。Realisticには「現実的な」「現実主義の」などの意味があります。素晴らしい目標であっても、明らかに達成できないような非現実的な目標では、達成に向けたモチベーションを維持できないでしょう。また、達成できなかったときには失敗経験、ネガティブな記憶としてチームに残る可能性があり、現実離れした目標の設定はハイリスクであるといえます。もちろん、前述の通りプロセスがしっかり計画されていれば、達成も現実味を帯びるため、一概に大きな目標が悪いとはいえません。ただし、実現可能性の高い現実的な目標設定し、より多くの成功体験を重ねていくことも、人材育成においては必要です。

Time-related(期限設定)

最後の成功因子は、Time-relatedです。Timeには「時間」、relatedには「関係のある」「関連した」などの意味があります。目標の達成に期限を設けることの重要性を示しています。期限を設定せず、なんとなく進める目標の場合、モチベーションを保ち続けることは非常に難しいです。しかし、期限をしっかりと設けることでそのときやるべきことが明確になります。現実味のある期限設定は、適度な緊張感とモチベーションを維持させ、目標達成に向けた努力につながります。

4. 適切な目標設定・管理を人材育成に生かす

適切な目標設定・管理を人材育成に生かす

人材育成において、目標設定やその管理が適切ではない場合、部下が受け身になったり、モチベーションが維持できなくなったり、マイナスに働いてしまうことも避けられません。本記事で挙げたようないくつかのコツを押さえて、目標や向かう方向を明確にし、共有することで、人材育成に効果的な目標設定や管理が実現できるでしょう。

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